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『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』1・2巻レビュー|手紙から始まる学園エス百合が尊すぎる

レビュー

⚠️ この記事はネタバレを含みます。

はじめに

「今、百合漫画界で一番面白い作品はなに?」と聞かれたら、私は迷わずこのタイトルを挙げると思う。

『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』——通称「ありさく」。作者は五十嵐純さん、KADOKAWA刊。webcomicアパンダにて連載中の学園百合です。

SNSで百合漫画に詳しい有識者の方々が「今一番面白い百合漫画」と口を揃えて推していた作品で、気になってはいたんですよね。読んでみたら、確かに。既刊を一気読みしたくなる気持ち、すごくわかります。1・2巻を読んでの感想をまとめてみました🌸

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こんな方におすすめ

  • 学園百合が好きな方
  • 手紙・文通・ペンパルものに弱い方
  • 関係性の変化をじっくり楽しみたい方
  • 大正ロマンや「エス」文化に興味がある方
  • 百合漫画に限らず、恋愛もの全般が好きな方

「ザ・百合」という感じの作品なので、百合が好きな方はほぼ間違いなく刺さると思います。百合初心者の方にも入口としておすすめできる一冊です。

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「手紙から始まる関係性」という、古くて新しい百合

お嬢様学校に入学した真面目系少女・桜川かすみは、図書館で手にした本の中に、1通の見知らぬ手紙を発見する——。

この書き出しだけで、もう世界観に惹き込まれませんか。

手紙の主が読んでいたのは、大正時代の「エス文化」を描いた文学作品。エスとは、当時の女学生の間で流行した、姉妹(Sister)のSから来た特別な関係のこと。憧れの先輩に庇護され、寄り添い合う——そんな独特の親密さを持つ文化を愛した手紙の主は、同じ作品を読んでいるであろう誰かへ、「私とこの本の中のような特別な関係になってほしい」とメッセージを残していたんです。

そしてその手紙に返事を書いたのが、かすみ。こうして顔も名前も知らない相手との文通が始まります。

現代の学園百合に、大正ロマン風の「エス」の概念を持ち込んだ設定が本当に独特で。「古くて新しい」という言葉がぴったりの作品です。

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かすみというキャラクターが、愛おしい

このかすみというキャラクターが、もうとにかく愛おしいんですよ。

ツインテールで、真面目が取り柄で。でも、真面目でいなければいけないというのは、かすみ自身の思い込みだな……と読んでいて感じる部分が随所にあって。受験で志望校に落ちてしまったことや、かつて塾で仲の良かった友人を亡くしたという過去を背負って、どこか自分を縛っているような子なんですよね。

そんなかすみが、文通相手との手紙のやり取りで一喜一憂している姿が、もうたまらない🌸 返事がくるたびにドキドキして、うまく書けなかったときは自己嫌悪して。恋をしているわけでもないのに(まだ)、誰かのことをこんなにも考えてしまう——その感覚が丁寧に描かれています。

1巻のクライマックス、約束の場所にお姉様が現れなかったとき、かすみが泣いてしまうシーン。それから、再会を果たすシーン。どちらも胸が締め付けられて、私もウルッときてしまいました😢

1巻の衝撃ラスト——「お姉様」の正体

拝啓、在りし日に咲く花たちへ 第1巻 表紙画像

さて、1巻最大のポイントはやはりこれです。

ずっと文通相手を「お姉様」と呼んでいたかすみですが、1巻のラストで明かされるその正体は——なんと中等部の後輩、春世ちゃんだったんです。

かすみは相手を年上だと思っていた。春世ちゃんもかすみのことを年下だと思っていた。名前も明かさない匿名の文通だからこそ起きた、ちょっとかわいい勘違い。

このひっくり返し方が気持ちよくて、「あーそういうことか!」と膝を打ちたくなりました。高1のかすみと中3の春世ちゃん、1学年しか違わないのに、先輩・後輩の立場が逆転していたというのも面白くて。

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2巻:「ごっこ遊び」の尊さと、もう一つの物語

2巻では、かすみと春世ちゃんの関係がより近くなっていきます。

背丈の低いかすみが後輩役、背の高い春世ちゃんが先輩役を演じる「エスごっこ」。もともとの立場とは逆の役割で遊ぶ2人の姿が、なんとも微笑ましい。かすみが小柄なせいで本当に後輩に見えてしまうのも笑えるし、でも2人とも「まんざらでもない」様子がじんわりと伝わってきて。距離感が少しずつ縮まっていく過程が丁寧に描かれています。

一方、2巻では新たなキャラクターとして、美術部の先輩・沙頼さんと、彼女がかつてエスの関係にあった瑞喜さんの存在も明らかになります。

かすみ×春世ちゃんとは対照的に、沙頼さん×瑞喜さんの間には何か不穏な影が漂っていて……。2巻のラスト、瑞喜さんが沙頼さんにカッターを向けるシーンで終わるのですが、これが本当にハラハラする。彼女たちに何があったのか、続きが気になりすぎます。

また、「バラの下で」という表現が劇中に登場するのですが、これは「内密に」「秘密裏に」という意味なんだそう。バラが秘密の象徴——そういった象徴的な言葉や文化の背景が物語に散りばめられていて、読み解く楽しさもあります。

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おわりに

手紙という、今どきあまり使わないコミュニケーション手段をあえて軸に置いたことで、この作品独特の「もどかしさ」と「ロマン」が生まれていると思います。相手のことを何も知らないのに、文字を通じてどんどん惹かれていく——そのじれったさが、読んでいてたまらない。

かすみ×春世ちゃんのこれからも、沙頼さん×瑞喜さんの謎も、どちらも目が離せません。1・2巻を読んで、続きを買う手が止まらなくなりました📚

まだ読んでいない方、ぜひこの機会に手に取ってみてください。絶対に後悔しない作品です🌸

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