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『あめとむち』6巻レビュー:傷と欲望が交錯するサレ妻×パパ活女子のダーク百合

お色気

⚠️ この記事はネタバレを含みます。

はじめに

『あめとむち』6巻、読み終えてしばらく、本を閉じたままぼんやりしていました。前巻で新たな火種が幾つも落とされた後のこの一冊。今巻はどうなっていくのか、胸を痛めながらページをめくったんですが……読み終わった今、言葉にしにくい重さと、それでも手放せない魅力を感じています。

前巻のレビューはこちらにまとめています。今回はその続きとなる6巻のお話です。

『あめとむち』5巻の考察について詳しくはこちら👇
『あめとむち』5巻レビュー:見えない真意と新たな火種、複雑化する愛憎劇

あらすじ

人妻・小夜子と、パパ活で出会った女子大生・めあり。彼女に本気で惹かれていくめありは、傷心に沁みる甘い言葉に誘われ、ついに小夜子の家を訪れることに。「知らない」「知りたい」、全部を忘れた甘い時間が始まるかと思いきや、そこは想像を超える緊張に満ちた空間でした。

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閉じた部屋で、加速する二人の距離感

今巻は前巻のような大きな動きはないように見えて、実は二人の関係性が根本から揺さぶられる一冊でした。小夜子に招かれためあり。そこに踏み入った瞬間から、なんとも言えない空気が漂っています。

特に印象に残ったのが、めありの母親の遺影に対する小夜子の挨拶のシーン。何気ない所作のように見えて、私にはまるで「これから先の何か」を示唆しているような、そんな不穏な予感を抱かせました。

小夜子の住まいは、夫婦の生活感というよりも、むしろその不在を感じさせる場所。そこに、あるべきものがない「穴」が見え隠れしているんです。日下の一件もあってか、小夜子に「うちに来る?」と問われためありは、色々と気にしながらも、その誘いに応じます。本当は知らない方がいいことも、知りたくて仕方ない私たちと同じように。

目にしたもの、蘇る記憶

今巻の核心とも言える展開。小夜子の家で、めありは思いがけない光景を目撃してしまいます。クローゼットの中に身を潜めた彼女が見たものは、彼女の中で大きく揺さぶるものになったんです。

めありが性に対して強い抵抗を抱えている理由が、今回少しだけ紐解かれた気がします。幼少期に母親のそういう場面を目にしてしまったトラウマ。今回の目撃が、蓋をしていたはずの記憶の引き金になってしまったのだとしたら……この痛みの重さに、胸が締め付けられました。

雨の中、びしょ濡れになって逃げ帰るめあり。風邪をひいて熱にうなされる中、蘇る幼い頃のイヤな記憶。そんな彼女のもとにかかってきた小夜子の電話は、もう我慢の限界を超えていたようで、めありは思いの丈をぶつけます。

雨に濡れて、でも求めてしまう心

熱に浮かされたような、でもどこか清醒な声で語られるめありの言葉。そして、インターホンが鳴って現れた小夜子。差し入れだけを置いて帰ろうとする彼女を、めありは引き止める。

このシーン、私は何度も読み返しました。小夜子の真意が、今巻も本当に読めない。旦那への腹いせだけなら、この行動は説明できない気がする。差し入れを持って駆けつけるようなことは、腹いせだけの相手にはしないでしょう。でも、それが純粋な「愛情」なのかとも、まだ言い切れない。

そして、小夜子がなぜめありの住む場所を知っていたのか。最初にめありを見た時に、追いかけていたのだとしたら……それは、もしかして一目惚れのようなものだったのかしら。考えれば考えるほど、この関係性のぎりぎりのバランスがもどかしくて、でも目を離せなくて。

並走する、もう一つの歪み

もう一組の関係性、ひなち(明未)とユウのパートも今巻描かれています。買い物デートのような日常のひとコマなのに、知っているからこそ不穏に感じてしまう。ひなちの存在自体が、良くも悪くも淀んだ空気を纏っているんですよね。

実の姉・姉ちがひなちを探しているということも、まだ火種として燻っています。ユウは、ひなちにとっての安息の地になれるのでしょうか。でもユウ自身も、なかなか食えない雰囲気を放っていて……この先どう絡んでくるのか、気にかかります。

この作品が放つ、独特の引力

前巻でも書きましたが、この作品の登場人物たちの「真意が見えない」感覚は、今巻でさらに深まりました。小夜子の感情の形、めありの向き合い方、ひなちとユウの関係性の行方。何ひとつとして答えが出ないのに、なぜか引きつけられてしまう。

今巻は特に、「身体」と「心」の境界が危うく描かれていると感じました。前作から続く「真意が見えない」感覚については、こちらでも触れていました👇
『あめとむち』5巻レビュー:見えない真意と新たな火種、複雑化する愛憎劇

目にするもの、触れ合うもの、それらが記憶と重なり合って、登場人物たちを少しずつ変形させていく。安心して読める百合作品とは真逆の場所に立つ作品だけれど、だからこそ読後にぎゅっと握りしめられたような感覚が残るんです。

おわりに

『あめとむち』6巻は、めありと小夜子が一つの屋根の下で交錯した後、さらに深い闇へと二人で沈んでいくような、そんな読後感でした。めありの過去が少し見えたことで、彼女の行動にもっと切実さが加わったように感じます。

この作品は、「安心してほっこりできる百合が読みたい」という方にはやはりおすすめしません。著者がこれまでに読んだ他の作品との比較や感想まとめはこちら👇
最近読んだ百合マンガ感想まとめ vol.3|社会人・年の差・オカルト・お色気まで

でも、予測不可能な人間関係の綾と、傷を抱えた人々のぎりぎりの距離感に惹きつけられる方には、ぜひ読んでほしい。

読後のモヤモヤと重さも含めて、この作品の世界を味わってみてください。そして、次巻でめありと小夜子はどうなってしまうのか……私も、目が離せません。

この先の展開、一緒に見守っていきませんか?

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