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『セフレ沼から抜け出せないっ!』レビュー:歪でビターな百合えっちアンソロジー

セフレ沼から抜け出せないっ!百合えっちアンソロジー の表紙画像 アンソロジー

⚠️ この記事はネタバレを含みます。

はじめに

タイトルを見ただけで、どこか惹かれるものがありました。セフレという、百合ではあまり正面から描かれない「関係性のグレーゾーン」。

『セフレ沼から抜け出せないっ!』を読んで、私はしばらく布団の中でため息をついていました。
いえ、悲しいからではなくて。各作品の終わった後に残る、なんとも言えない余韻——胸の奥に引っかかる、甘美な苦味のようなものに浸っていたんです。

百合マンガを読むようになってから、私は「恋人同士になってハッピーエンド」をいつも求めている気がするのですが、このアンソロジーは最初から「恋人昇格一切ナシ」と宣言しています。カラダだけじゃイヤな女と、カラダだけでいいクズ女。そんな不誠実すぎる関係性が詰まった一冊です🌸

作品のテーマ

このアンソロジーが面白いのは、各作家が「セフレ」という同じ土台を踏まえながら、全然違う味付けで百合を描いているところです。

先輩後輩、同僚、幼なじみ、編集者と漫画家……関係性のバリエーションが豊かで、どの作品も「カラダから入った関係」だからこそ生まれる、もどかしさや優越感、そして虚しさまで含めて楽しめます。

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こんな人におすすめ

  • 甘い百合だけでなく、大人の苦みやビターテイストも楽しみたい方
  • 背徳感や歪な関係性に惹かれる方
  • えっちで生々しい描写も含めて、百合を堪能したい方

気になった作品たち

merryhachiさん「ワンマン彼女」:ギャップに溺れるバンド×ライバー百合

個人的に特に好きだったのが、merryhachiさんの「ワンマン彼女」。大学でバンド一筋の硬派(に見える)先輩・琴子が、ゼミの後輩・マコちゃんにお持ち帰りされてしまうところから始まります。琴子は硬派な雰囲気なのに巨乳で絆されやすくて、マコちゃんはかわいい顔して性欲強めという、二人ともギャップがとても良いんです。

そしてマコが有名ライバーだと知った琴子が、「自分の前でしか見せない顔」を知っていることに優越感を覚える気持ち、分かります。私もその瞬間、つい胸の中で「そうだよね……!」と頷いてしまいました。二人のその後の関係が、とても気になります🧐

生肉さん「言わせてあげない」:生々しい背徳の同僚百合

生肉さんの作品は、会社の同僚でライバル関係にある有希とあやねが裏ではセフレ、という設定がたまらなく背徳的でした。あやねの性格の悪さ——いや、したたかさ——が素晴らしい。「好き」と言わないのを条件にセフレ関係を続けている(ように見せかけて)おいて、実はエッチの最中に有希が漏らす「好き」を聞かないフリをしているんです。

有希が振り回されている感じがちょっと可哀想に見えつつも、本人も楽しんでいるのだろうなと思うと複雑な気持ちに。生肉さんの描くエッチシーンは本当に生々しくて、紙面から伝わるエロさにドキッとしました。

あんすこさん「Are you “mine”?」:最後を飾る切なすぎるビター

アンソロジーの締めくくりを飾るあんすこさんの作品は、読後の胸の痛みが忘れられません。男っ気のない27歳・華凛が、ナンパに遭ったところをコンカフェ嬢のツバキに助けられて——。最初は煙たがっていたツバキをあっさり受け入れた華凛の、その裏にある寂しさの共有みたいなものを感じて。

でも、結局ツバキに遊ばれていたと分かった時の華凛が可哀想で仕方なくて。頭では分かっていても、身体が離れられなくなっている状態が、セフレの「沼」の本質を象徴しているようで、切なくてたまりませんでした。アンソロジーの最後にふさわしい、しっとりとしたビターテイストの佳作です。

ににふさん「押してダメなら描いてみろ」:ベタで愛おしい味変

ビターな作品が多い中、ににふさんの作品はコメディテイストで味変にぴったりでした。漫画家志望の原が、担当編集・里中に愛想を尽かされてからの一念発起と、里中の掌返し。ベタな展開なのに、なぜか原が里中に流されて身体を許してしまうところが可愛らしい。

里中が原に本気になりかけていたところも微笑ましくて、セフレ関係の中にもちゃんと「恋」が芽生えようとしているのが見え隠れるのが良かったです。

他の作品も

遮二無二さんの「オトナ・レッスン」では、大学生・陽菜が大人の女性・智世に虜になっていく様子が描かれています。智世のクールで知的な見た目とは裏腹なエロさにやられてしまいました。智世が「付き合ってない人ともできるのが大人の恋愛だ」とカマをかわすところは、一枚上手だなあと思いつつつ、セフレという関係の都合の良さを再認識してしまいました。

高良真生さんの「彼女のコスプレ」は、なぎさの感覚がイマイチ理解できず、しーちゃんが不憫に思えて仕方なかった作品。ぼちゃさんの「きみの特別になれなくても」は、幼なじみの共依存関係にモヤモヤとさせられました。どちらも「セフレって歪なものだよな」と実感させられる力作でした。

おわりに

『セフレ沼から抜け出せないっ!』は、百合マンガの中であまり正面から描かれない「カラダから始まる関係性」を、様々な角度から楽しむことができるアンソロジーでした。

読み進めながら、どのカップルも「歪だなあ」と感じていたのですが、よくよく考えればセフレ関係自体がそういうものなのだと納得してしまいました。

甘い百合も大好きですが、こういう「苦い」百合もあるんだなと知ることができたのは、読者として貴重な体験でした。

セフレという関係性の「沼」に浸かりながらも、どこか清々しさを感じられたのは、各作品にちゃんと「女同士だからこそ」の感情の機微が描かれていたからだと思います。

セフレ沼、一度覗いてみてください。きっと、思ったより深くて、温かくて、少し切ない場所です🌸

読んだ方は、どのカップルが一番心に残りましたか?私はまだ「ワンマン彼女」の琴子とマコちゃんが気になって仕方ないです。

セフレ沼から抜け出せないっ!百合えっちアンソロジー の表紙画像

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